日本ソノケミストリー学会(旧称:ソノケミストリー研究会)
日本ソノケミストリー学会は、1992年10月にソノケミストリー研究会として発足し、2007年に学会に改組したもので、今年で18年目を迎えます。この間、会員数も170名を越え、「ソノケミストリー」をキーワードとした世界的にも最大規模の学会となりました。 本学会主催で毎年開催されるソノケミストリー討論会も極めて活発で、日本や世界の超音波化学の発展に大きな役割を果たしてきました。 本学会が論文発表の中心に据えている国際学術誌Ultrasonics SonochemisrtyはUltrasonicsの姉妹紙として1994年に創刊されましたが、そのインパクトファクターはここ数年上昇を続け、2008年のデータでは2.796となっています。 本学会の会員も一層質の高い論文を投稿し、ソノケミストリーの基礎から応用まで、幅広い分野で貢献することが求められています。 国内の科学技術の動向に関して言えば、2009年暮れに閣議決定された「新成長戦略」に留意しておく必要があります。 そこでは二つのイノベーションの重要性が挙げられています。 一つは経済と環境を両立させるグリーン・イノベーション(環境エネルギー分野革新)であり、もう一つは国民生活向上のためのライフ・イノベーション(医療・介護分野革新)です。 ソノケミストリーはその出口として、この二つのイノベーションを達成するキープレーヤーと成り得る立場にあります。 ソノケミストリーはプロセスのそのものが省エネルギー、環境フレンドリーであり、その効果は環境対策・エネルギー対策へも適用可能です。 医療の分野に目を転じれば、超音波を利用したプロセスは、大きな将来性を有するものです。 これらを成し遂げるための基礎研究や現象の正しい理解が必要なことはもちろんですが、科学技術に携わる研究者・技術者として、出口イメージをしっかりもち、分かりやすい言葉で広く一般の方々に説明していくことも大切なことです。 ソノケミストリーの更なる発展のためにも、学会を挙げて何らかのサクセス・ストーリーを目指しませんか。 このことが研究環境の大幅な改善にもつながっていくことを信じています。 本学会は、これまで多くの偉大な先輩の方々によって引っ張ってきてもらいました。 将来を考えると、次の世代を育てていくことが私たちの大切な役割です。 また、学会組織としては、現在の任意団体から学術研究団体としての指定を受けることも、重要な課題と考えています。 朝倉副会長、榎本副会長を始め、理事の皆様方のお力をお借りしながら、本学会を運営していきたいと思います。 ソノケミストリーの学問としての更なる発展と社会への一層の貢献のために、学会員の皆様のご支援とご協力を心からお願い申し上げます。 |
  | 日本ソノケミストリー学会会長 三留 秀人 |
2010年6月
日本ソノケミストリー学会会長
三留 秀人
(独立行政法人産業技術総合研究所 中部センター所長)