日本ソノケミストリー学会(旧称:ソノケミストリー研究会)
2015年の理事会・総会を経て、2016年4月より本会会長に就任いたしました。日本のソノケミストリー分野の諸先輩がこれまで築きあげてこられた土台をさらに発展的に展開できるよう、日本のソノケミストリーの進展に尽力いたします。 会員の皆さまのご支持とご協力をお願い申し上げます。 日本における「ソノケミストリー(超音波が関与する化学)」は、 1992年に本会の前身「ソノケミストリー研究会」として、ソノケミストリー分野の研究者や技術者が情報を発信し交換する場として発足し、2007年、「日本ソノケミストリー学会」に改称・改組いたしました。 現在の会員数は156名(2015年8月現在)となり、毎年、夏から秋に主催する「ソノケミストリー討論会」には100名前後の参加があり、この分野の研究者、技術者、学生が集い、情報交換、新たな研究成果を公表する学会に成長してきました。他にも「超音波とマイクロバブルの相互作用に関するシンポジウム」等の主催・共催のほか、定期的に「学会誌」の発行を行い、当該分野の発展とそこに集う方々の研究活動の拠り所として認知されています。 また、"Ultrasonics- Sonochemistry" (Elsevier 社発行)も用意され、研究成果を国際的に公開する専門論文の掲載の場として活用されており、おかげさまでそのインパクトファクターはここ5年平均で4.630となりました。 このような現状に基づいて、また、本会の今後の方向性として以下が挙げられるかと存じます。まず、(1)ソノケミストリーとソノプロセスが関連する様々な分野が密に連携し、学問的な体系化を少しずつではありますが、前に進めなければなりません。さらに(2)産業界との連携も密にし、技術認知を図り、皆さんのもつ独創的な技術シーズを産業に生かすことを心がけて頂きたいと考えます。また本会会員の研究活動は世界中から認められており、これまでに本会が主催した2回の国際会議(2007年の京都および2011年の名古屋)への関心は高く、今後のグローバル展開は重要です。特に欧州ソノケミストリー学会(European Society of Sonochemistry, ESS)やアジア・オセアニア地域会議(Asia-Oceania Sonochemical Society Conference, AOSS, 隔年開催予定)では、これまで、アジアのソノケミストを牽引し、かつ北米、欧州の研究者と連携し、主導的立場を担っております。従って、(3)今後、グローバル連携をさらに推進し、会員の皆さまの世界レベルでの活動を後援して行ければと存じます。また、(4)若手研究者、学生諸君の活躍は本会での活性化剤です。若人が集い、活発に、自由に意見を交わせる学会運営を心がければと考えます。さらに、(5)学会の健全な運営において、財政的な基盤は大変重要であると考えます。学会が多様化し、幅広い対応が要求されてきた昨今、会員増による収入増は容易ではありません。しかし、収入増、支出減のための様々な方策について、会員の皆様とともに継続的に考えたいと思います。
以上のように、これまで積み重ねられてきました、先達および現役の方々の成果を、組織的にどのように将来に引き継ぎ、さらに発展させてゆくかを、使命に会長職を務めてまいります。そのためには会員の皆様から様々なご意見を頂きながら、本会の発展に貢献できればと考えます。皆様のご協力、ご指導をお願い申し上げ、会長就任の挨拶といたします。
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  | 日本ソノケミストリー学会会長 小林 高臣 |
日本ソノケミストリー学会会長
小林 高臣
(長岡技術科学大学工学部化学)